
最近は、糖質制限が定着しつつありますが、現在でも糖質制限が良いか悪いか?については賛否両論があります。
ただ、糖質制限と言っても人それぞれ定義が曖昧だったり、やり方によっては体のエネルギー源が違ってきたりします。
そこで、この記事ではそのあたりをハッキリさせたい・・・という事で、考えられる糖質制限の定義と種類、特徴について解説していきたいと思います。
最後まで読んで頂ければ、人それぞれが思っている糖質制限の定義のズレ、やり方によって結果が変わってくるというのが分かるでしょう。
※今回は、ダイエット(減量)を目的とした糖質制限についてお話します。(摂取カロリーよりも消費カロリーが上回っている状態のこと)
もくじ
糖質制限の定義と考えられる種類
糖質制限の定義は人それぞれ違う為、糖質制限と一言で言ってもどのようにやっていくのか?も違ってきます。
私が色々と調べたところ、糖質制限の定義はやり方によって、大きく分けると、
- エネルギー源がグリコーゲンになっている糖質制限
- エネルギー源がケトン体になっている糖質制限
この2つに分けられると思います。
そして、エネルギー源がグリコーゲン(糖質)になっている糖質制限は、ある程度は炭水化物を摂取する緩い糖質制限と、完全に主食(炭水化物)を抜く糖質制限に分かれるかな、と。
つまり、糖質制限の定義というのはザックリ分けると3つになると思っています。(実際は、もっと細かく分かれると思います)
補足
1つ補足しておきますが、ここで話すエネルギー源がグリコーゲン(糖質)になっている糖質制限は、なるべく脂質は抑える、というのを定義とさせて頂きます。
何故なら、糖質を摂取しながらダイエット(減量)をしている場合、脂質を抑えないと体重(体脂肪)を落としにくくなり、糖質制限をする意味が無くなってしまうからです。
糖質がエネルギー源になる糖質制限
これから紹介する2つの糖質制限は、エネルギー源がグリコーゲン(糖質)となっています。
これらの方法は、糖質を制限すればするほどエネルギー源を確保出来なくなり、足りない場合は『糖新生』によって、アミノ酸(筋肉)や脂質からエネルギー源を確保することになります。
糖新生とは?
『糖新生』という言葉は聞いたことがあると思いますが、もし、詳しい内容を知りたい場合はネットで検索すれば、専門家が解説してくれているので、そちらをご覧ください。
なので、ここではザックリ糖新生について解説しておきましょう。
糖新生とは、
- アミノ酸(タンパク質)
- グリセロール
- 乳酸
- ピルビン酸
などから肝臓でブドウ糖を作り出すことです。
つまり、体内(筋肉や肝臓)のグリコーゲン(ブドウ糖)が枯渇した際に、新たにエネルギー源(ブドウ糖)を作り出すシステムが糖新生です。
ただし、ダイエット(減量)を目的にして糖質制限を実践した場合、糖新生が活発になると、体内のアミノ酸(タンパク質)もどんどん使われる為、結果的に筋肉も減らしていくことになります。
また、糖新生というのはエネルギー源を作り出すのにあまり効率の良いシステムではありません。
何故なら、直接ブドウ糖を摂取した場合は、ブドウ糖1分子を生み出す為に2分子のATPが必要ですが、糖新生の場合は8分子のATPが必要だからです。
それに、糖新生によって1日にブドウ糖が生成される量は80gくらいと言われています。
こういった事から、糖新生によってエネルギー源を確保するよりも、直接ブドウ糖を摂取したほうが体にも負担をかけにくく、効率的だと言えるでしょう。
ただし、糖質(ブドウ糖)の過剰摂取はデメリットしか無いので、必要な分だけ摂取するのがエネルギー源を確保する賢い方法です。
緩い糖質制限の概要と特徴
緩い糖質制限というのは、例えば1日3食の場合、
- 2食は主食(炭水化物)を抜く
- 夕食だけ主食(炭水化物)を抜く
このように、1~2食は主食(炭水化物)を摂取して、それ以外は抜くと言ったスタイルが考えられます。
緩い糖質制限の特徴は、その人の状況(特にスタート時)にもよりますが、
- 体重(体脂肪)が落ちにくい人もいる
- 数kgくらいなら比較的落ちやすい
- それほど我慢無く実践できて継続しやすい
こんな感じになりやすいかな、と。
まず、どんなダイエット(減量)を実践するにしても、実践する人のスタート時の状況・・・例えば、体重(体脂肪)や食事、運動や生活環境によって、同じことをしても結果が違ってきます。
なので、緩い糖質制限を実践した場合も、あまり体重(体脂肪)が落ちなかったり、逆に数kgくらいなら簡単に落ちる場合もあります。
また、緩い糖質制限は主食(炭水化物)を1~2食抜くだけなので、それほど辛いわけでもなく、比較的継続しやすい、という特徴があります。
体重(体脂肪)のコントロールが上手で慣れている人であれば、緩い糖質制限でも問題なく結果を出せますし、3~4kgくらいの体重(体脂肪)を落とすだけならそれほど難しくは無いと思います。
ただし、人によっては体重(体脂肪)が停滞してしまい、目標の体重や体型になれない場合もあり、ここは個人差が出てくるでしょう。(やはり、それなりに知識や経験が必要)
1つだけ注意点としては、2食は主食(炭水化物)を抜く場合、食べた分だけの炭水化物だけではエネルギー源として足りず、『糖新生』によって筋肉も減らしてしまう可能性があります。(これは人による)
ここの知識や経験が無いと、ダイエット(減量)が上手くいったと思っても、実際は筋肉も減ってしまってリバウンドしやすい体になってしまった、ということもあり得るので注意が必要。
まあ、色々説明しましたけど、緩い糖質制限はその人の状況によって、難易度は変わってくるかな、と。
ちなみに、私はダイエット(減量)をする場合、この緩い糖質制限を実践する時期はありますが、代謝が下がりやすいので、連続して長期間はやることはありません。
主食を抜く糖質制限の概要と特徴
主食を抜く糖質制限は、1日3食であれば全ての食事で主食(炭水化物)を抜く方法です。
例えば、
- お米
- うどん
- ソバ
- パスタ
- パン
- イモ類(ジャガイモやサツマイモなど)
と言った炭水化物が多いデンプンや小麦の含有量の多い食べ物は一切口にしません。
更に、糖質の多い調味料(ケチャップやソース、焼き肉のタレなど)も抜く人もいるみたいですが、このあたりは人によってルールが違う場合があります。
また、この状態から沢山の脂質を摂取した場合、体のエネルギー源がブドウ糖からケトン体に変わりやすくなります。
これをケトジェニックダイエットと言うのですが、やり方については後程解説しますので、今はスルーしてください。
話を戻します。
この主食を抜いた糖質制限の特徴は、
- 体重(体脂肪)を落としやすい
- 糖新生によって筋肉が減りやすい
- 代謝が落ちやすい
- リバウンドをしやすい
このように、諸刃の剣といった感じです。
つまり、体重(体脂肪)も落としやすいけど、リバウンドもしやすいというのが主食を抜いた糖質制限の特徴です。
よくネットやメディアで『短期間で一気に体重(体脂肪)を落とす方法』として紹介されているのはこの方法です。
その人の状況にもよりますが、2ヶ月程度で10kg以上体重(体脂肪)を落とすことも可能だけど、リバウンドの確率も高い。
何故なら、この方法はエネルギー源がグリコーゲン(糖質)の状態なのに、主食(糖質)を抜いている為、『糖新生』が活発になりやすくなり、筋肉を削って体重(体脂肪)を落としているから。
また、脳は1日に120gのブドウ糖が必要だと言われているので、それを考えるとますます糖新生が活発になる可能性大。
こういった事から、主食を抜いた糖質制限を実践した場合、エネルギー源(ブドウ糖)の不足で、血糖値が下がりすぎて頭がボーッとしたり、空腹感が強くなったりすることがあります。
筋肉が減っても良いからとにかく短期間で体重(体脂肪)を落としたい場合は、主食を抜いた糖質制限を実践するのもアリでしょう。
ただし、実践することで筋肉も減りやすくてリバウンドの確率も高くなるので、そこは自己責任でお願いします。
ちなみに私は、ダイエット(減量)をする時は、なるべく筋肉は減らしなくないので、この方法は実践することは無いと思います。
ケトン体がエネルギー源になる糖質制限
ケトン体をエネルギー源にする糖質制限のことをケトジェニックダイエットと言います。(体をケトーシスの状態にすること)
ケトジェニックダイエットで、ケトン体をエネルギー源にした場合は糖新生も起こりにくくなり、結果的に筋肉の分解も抑制されます。
ケトジェニックダイエットの定義と特徴
ケトン体をエネルギー源にしている糖質制限は、先程紹介したグリコーゲン(ブドウ糖)をエネルギー源にしている糖質制限とは摂取する栄養素の割合が違ってきます。
人間がケトン体をエネルギー源にするには、約24時間くらい食事を摂らずに飢餓モードにするか、あるいは、
- 脂質は60〜70%
- タンパク質は20〜30%
- 糖質は10%以下
こういった栄養素の割合で食事を摂取していく必要があります。
重要なことは、沢山の脂質を摂取する事と、糖質の摂取量を限りなくゼロに近づけるということ。
当然、主食の炭水化物は一切摂取できませんし、調味料(ケチャップやソース、焼き肉のタレ等)に含まれている糖質にも気をつける必要が出てきます。
こうった条件が揃っていないと、体のエネルギー源がブドウ糖からケトン体に変わりません。
昔から日本人は、炭水化物を多く摂取する習慣があった為、ケトジェニックダイエットを実践する場合は脂質の大量摂取に苦労する人が大半でしょう。
ここで、役に立ってくるのがケトン体の材料になりやすい
- アミノ酸のロイシンとリジン(ケト原性アミノ酸)
- 中鎖脂肪酸のMCTオイル(1日30g程度)
この2つです。
特に、MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、ケトーシスになるのを促進してくれるのですが、一度に大量摂取することでお腹が下りやすくなります。
なので、もし摂取する場合は小分けにして摂取していくのが良いでしょう。(1回の摂取量は5gくらいから)
あと、EPA(サーモンや青魚)とオレイン酸(オリーブオイル)も体に良い資質なので、積極的に摂取していきたいところ。
ただし、これらの脂質は酸化しやすいという問題もあるので、酸化防止の効果があるビタミンEも摂取していくと良いでしょう。
そして、ケトジェニックダイエットの特徴は、
- 食費がかかる
- 筋肉の分解はされにくい
- 体質(腸内環境)によって、ケトーシスになりやすい人となりにくい人がいる
この3つ。
とにかくケトジェニックダイエットを実践すると、かなりの食費が必要となります。
なので、もしケトジェニックダイエットを実践する場合は、食費を払えるだけの経済力も必要になるでしょう。
また、ケトジェニックダイエットは、ケトン体をエネルギー源とする為、筋肉の分解は起こりにくいとされています。
しかし、中には体質(腸内環境)によって、ケトーシスになりにくい人もいる為、そういう人は、糖新生を起こして筋肉を分解しやすくなるかもしれないので注意が必要。
ちなみに、ケトーシスになりにくい人も、ケトジェニックダイエットの実践頻度を増やしていけば、すぐケトーシスになりやすくなるらしいです。
ただ、自分がどちらの体質なのか?は、実践して試してみないと分かりません。
もし、興味がある場合は試してみると良いでしょう。
個人的な意見としては、ケトジェニックダイエットは、ボディビルやフィジークなどの競技選手や、何らかの病気を患っている人が状況に応じて短期的に実践するものだと思っています。
何故なら、健康な人が長期的に渡ってケトジェニックダイエットを継続することで、健康面で悪影響が出てくる可能性があるから。(目的を持って短期間だけ実践するならアリだと思います)
そもそも、ボディビルやフィジークで本格的な体作りをしている人達は、決して健康的とは言えないですからね。
ちなみに、私は炭水化物を摂取出来ないケトジェニックダイエットは好きではないので、実践する予定は今のところはありません。
ケトジェニックダイエットをしなくても、体重(体脂肪)を落とせるので、実践する必要が無いからです。
人によって糖質制限の定義と結果は変わる
ここまで糖質制限の定義についてお話してきましたが、実際はもっと糖質制限の定義は細かく分かれるでしょう。
人それぞれ頭の中でイメージした糖質制限の定義にズレがあるはずですから。
そして、糖質を制限するにしても、どんな人がどのくらい制限しているか?で結果も違ってきます。
こんな曖昧な状態の中で、世間では糖質制限が良いとか悪いとかいう論議をしているのが実状。
実際、糖質の過剰摂取が習慣になっていて、糖質を制限したら結果が出たという人もいますが、これは制限というよりも、糖質を適正量まで減らしたら結果が出たという事が多い。
その逆で、年齢も若くて代謝も高く、運動量も多くてクリーンなエネルギー源(糖質)が必要なのに糖質摂取量が少ない人もいます。
こういう人は、体の成長(筋肉など)に影響が出たり、内臓に影響(耐糖能など)が出てくる可能性があります。
こういった事から、糖質制限が良いか悪いか?という論議をしても、簡単に結論が出るわけはないですし、むしろ、出るほうがおかしいのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、考えられる糖質制限の定義と種類、特徴について解説してきました。
話をまとめると、糖質制限の定義は人それぞれ微妙に変わってくる為、正解はないのですが、大きく分けると、
- エネルギー源がグリコーゲンになっている糖質制限
- エネルギー源がケトン体になっている糖質制限
この2つに分かれると思います。
更に、エネルギー源がグリコーゲンになっている糖質制限の中にも、
- 2食は主食(炭水化物)を抜く
- 夕食だけ主食を(炭水化物)を抜く
- 主食(炭水化物)は完全に抜く
このように3つに分けられるでしょう。
実際は、糖質を含む調味料はどうするか?など、人それぞれ糖質制限の定義はもっと細かく分かれると思いますが・・・。
そして、それぞれの糖質制限の特徴ですが、まず、緩い糖質制限の特徴は、
- 体重(体脂肪)が落ちにくい人もいる
- 数kgくらいなら比較的落ちやすい
- それほど我慢無く実践できて継続しやすい
この3つでした。
主食を抜いた糖質制限の特徴は、
- 体重(体脂肪)を落としやすい
- 糖新生によって筋肉が減りやすい
- 代謝が落ちやすい
- リバウンドをしやすい
この4つ。
そして、ケトジェニックダイエットの特徴は、
- 食費がかかる
- 筋肉の分解はされにくい
- 体質(腸内環境)によって、ケトーシスになりやすい人となりにくい人がいる
この3つでした。
こうして全体で見てみると、糖質制限を実践して色々な結果(うまくいった、うまくいかない等)が出たとしても、糖質制限が良いか悪いか?の結論は定義が広すぎて簡単に出せないのではないでしょうか。
なので、もしあなたがこれからダイエット(減量)をしていくのであれば、糖質制限という言葉だけに惑わされず、自分の体が良い結果を出してくれる方法はどれか?を試行錯誤していくことをおすすめします。
それが効率よくダイエット(減量)を成功させる1番の近道ですから。
最後までお読み頂きありがとうございました。
PS
糖質制限が良いか悪いか?については、ある程度条件を設定してから話していかないと、ザックリとした結論も出せないでしょう。
ただ、この内容は話すと長くなるので、また別の機会に出来れば、と。
また、個人的な意見としては、糖質は無理に制限するものではなく、適正な食材(炭水化物)で、適正な量を摂取することが重要だと思っています。(悪い糖質は控える、摂取しない)
こちらの内容についても、また近いうちに話したいと思います。