
最近は、ダイエット(減量)をしていく時に炭水化物が悪者のように扱われていますが、実はそんな事はありません。
ダイエット(減量)や健康に悪影響を与えているのは、異性化糖(果糖ブドウ糖液糖など)を含めた果糖なのです。(砂糖も良くないですが)
ただ、中には、
「果糖は、血糖値を上げないから太りにくい。だから、大丈夫じゃないの?」
と思う人もいるかもしれません。
でも、実際はそんなことはなく、果糖は糖化のリスクもブドウ糖の10倍とも言われていますし、太りやすい成分なのは間違いありません。
そこで、今回は果糖が太りやすい原理を解説しつつ、果物は大丈夫なのか?というところも言及していこうと思います。
この記事を読めば、果糖がどのくらい悪さをする成分なのか?というところや、果物に関しての真実も分かるでしょう。
もくじ
果糖が体内に入った時の反応と症状
まず、果糖を摂取しても血糖値は上げにくいという特徴があります。
なので、中には果糖は太りにくいと言う人もいますが、実際は太りやすい成分。
実際、果糖は中性脂肪を増やすだけではなく、
- 老化
- ガン
- 動脈硬化
- 痛風(尿酸値が高くなる)
- 認知機能の低下
等の症状になる確率を高める成分なのです。
何故、このような症状を起こしやすくしてしまうのか?と言うと、果糖の消化吸収経路が他の炭水化物(ブドウ糖)と違うから。
果糖とブドウ糖の消化経路の違い
デンプンから出来ているお米や、小麦からできているパンを食べた場合、小腸を通してブドウ糖まで分解されて、エネルギーとして代謝されたり、グリコーゲン(肝臓や筋肉に貯め込む炭水化物)として貯蔵されます。
しかし、体内に入った果糖はほぼ肝臓でしか代謝されない、という特徴があります。
だから、食べた分の果糖は一気に肝臓に送られる為、ブドウ糖を代謝するよりも肝臓に負担がかかることに・・・。
こうして、果糖はグリコーゲンの生成過程とは違うルートで直接ミトコンドリアに入ってくるのです。
そうなると、アセチルCoAが過剰に生成され、それを代謝するミトコンドリアは処理できずにパンク状態に・・・。
余ったアセチルCoAは、ミトコンドリアから分離して、代謝されて脂肪に変換されるのです。
果糖の過剰摂取はインスリン抵抗性を引き起こす
果糖が脂肪になるプロセス(果糖の過剰摂取)が日常的になると、肝臓はインスリン抵抗性を引き起こしやすくなります。
インスリン抵抗性とは、インスリンが血糖値を下げる能力落ちてしまっている状態のこと。
だから、結果的に糖尿病にもなりやすい環境を作ってしまうのです。
果糖は糖化(メイラード反応)を引き起こしやすい
現時点の情報だと、果糖はブドウ糖よりも糖化(メイラード反応)を7倍ほど早く引き起こすと言われています。
つまり、果糖の含有量が多い
- ブドウ糖果糖液糖
- 果糖ブドウ糖液糖
- 高果糖液糖
これら(異性化糖)の過剰摂取は、メイラード反応(糖化)によって、老化を早めたり動脈硬化やガンの発生率を上げたりするというわけです。
糖化を防ぐ対策
現代の食生活の中には、あらゆる食べ物や調味料に果糖が含まれているので、多少は気をつけながら食事をしていくのが良いでしょう。
特に、揚げ物(フライドポテト等)は、糖化した状態の食べ物の中で最も良くないので、控えたほうが良いと思います。(果糖だけではなく、炭水化物を多く含む食べ物全体が糖化しやすいと言える)
また、調味料(麺つゆ・焼肉のタレ・ドレッシング等)にも果糖が使用されていることが多いので、注意が必要です。
ちなみに、以前の私はよく果糖を多く含む調味料(麺つゆ・ドレッシング・ケチャップ等)を使っていたのですが、現在はあまり摂取しないようになりました。(今の自分には必要ないと思ったから)
あと、食べ物とは関係ないですが、軽い運動(ウォーキング等)の継続は糖化の予防になるので、実践できる場合はすると良いですよ。
果糖が多い果物は大丈夫?
ここまで説明してくると、
「果物には果糖が多いから、あまり食べないほうが良いのか?」
という疑問が出てくる人もいると思います。
これに関して結論から言うと、1日(一度)に何個も食べなければ、果物の果糖は心配することはありません。
何故なら、
- 果物の果糖含有量は思ったよりも多くない
- 他の栄養素(ビタミン・ミネラルや食物繊維)によって、果糖の悪い部分が打ち消される
こういった理由があるからです。
実は、果物に果糖が多いという印象があるかもしれませんが、そんな事はありません。
もちろん、果物の種類によって果糖の含有量の違いがありますが、果物1個あたりでは、清涼飲料水を1本飲むよりも、遥かに果糖の含有量は少ないです。
例えば、バナナを1本(100g)食べたとしても、果糖の含有量は2〜3g程度ですが、清涼飲料水を飲んでしまうと、一気に20g前後の果糖を摂取してしまうことになります。
また、果物には水分やビタミン・ミネラルが多いですし、何と言っても食物繊維の存在が大きいです。
先程も言いましたが、果糖は体内に入ると、ほとんどが肝臓に運ばれて代謝されるのですが、果糖の摂取量が多い場合、肝臓が処理に追いつかない為、中性脂肪が増えたり脂肪肝を引き起こしたりします。
しかし、果物を食べた場合は果物に含まれている食物繊維のおかげで、体内に入った果糖がゆっくり肝臓に運ばれる為、肝臓は果糖をスムーズに処理できるのです。
こういった事から、果物は1日(あるいは一度)で食べ過ぎなければ、果糖含有量も少ない上に、食物繊維のおかげで果糖が肝臓に運ばれるスピードも遅くなる為、1日1〜2個くらい食べるくらいなら問題ありません。
むしろ、抗酸化作用もありますから健康にも良いと言えるでしょう。
ちなみに、私も毎日バナナを1〜2本食べるのが習慣になっています。(あとは、季節によってリンゴやキウイフルーツも食べます)
ただ、果物ジュースの場合は、果物が凝縮された状態であり、果糖の含有量が多くて食物繊維もほとんど残っていない状態なので、飲むのはおすすめできません。(果糖の塊だと思ってもらったほうが良いでしょう)
あと、以下に『果物を食べることで2型糖尿病のリスクが低下する』という論文(メタアナリシス)もあるので、紹介しておきます。
これを読めば、果物は食べる量さえ間違わなければ、健康に良い食べ物だということが分かるでしょう。
果物、野菜、またはそれらの繊維の摂取量を増やすと、2型糖尿病のリスクが低下します。メタアナリシス。
果物ジュースには注意が必要
先程説明したように、果物自体は食べ過ぎなければ果糖による害は無いのですが、これが果物ジュースとなると話は別です。
特に、市販で販売されている100%果物ジュースは、食物繊維が取り除かれてしまっている為、あまりおすすめできません。
もし、飲むのであれば、量とタイミングを考慮したほうが良いでしょう。
例えば、起床時や運動前に200ml程度とか・・・。
また、最近は果物をスムージーにするのが流行っていますが、スムージーも果物をミキサーにかけた時に不溶性食物繊維を破壊してしまうので、飲み過ぎには注意が必要。
一応、ミキサーにかけても水溶性食物繊維は破壊されずに残っているみたいですが、食物繊維は、両方(不溶性と水溶性)が揃った状態の方が効果を発揮します。
ですので、スムージーは果物と同じような扱いで摂取すると、果糖の害が出やすくなると思っておいたほうが良いでしょう。
まとめ
この記事では、果糖が太りやすい原理を解説しつつ、果物は大丈夫なのか?というところを言及してきました。
果糖(異性化糖)は、あまり血糖値を上げないですが、血糖値を上げるブドウ糖よりも、タチが悪い成分です。
果糖の過剰摂取は、
- 老化
- ガン
- 動脈硬化
- 痛風(尿酸値が高くなる)
- 認知機能の低下
以下のような症状を起こす確率を高めます。
原因は、果糖が体内に入ると、ほとんどが肝臓に運ばれて代謝されるから。
結果的に、インスリン抵抗性を引き起こしやすくなり、脂肪肝や糖尿病にもなりやすくなる。
そして、最終的には老化やガンなどの病気の発症率も高くなります。
そう考えると、果糖を過剰摂取していて、太るだけならまだマシだということ。
果糖の過剰摂取の先にメリットは1つもなく、デメリットのオンパレードです。
もし、あなたが40代、50代、60代と年を重ねても、若々しくて健康的で引き締まった体型を作って維持をしていきたいのであれば、なるべく果糖は摂取しないように心がけると良いでしょう。(ある程度の摂取はしょうがない)
果糖は、自然に近い食べ物以外のあらゆる食品や調味料に含まれているので、もし気になった場合は、成分表を見てはいかがでしょうか。
『チリも積もれば山となる』じゃないですけど、毎日ちょっとずつでも、
「この○○に含まれる果糖は、自分にとってはあまり必要無いから避けるようにしよう」
といった感じで、少量の果糖を避ける習慣をつけていけば、きっと良い結果に繋がると思いますよ。
最後までお読み頂きありがとうございました。